日本が誇るリアル・ロック・モンスター、「世界の終わり」は全ての始まり。
日本が誇るリアル・ロック・モンスター、「世界の終わり」は全ての始まり。

目次
Thee Michelle Gun Elephant/cult grass stars
1996年作品
収録曲
チバユウスケ(以下、チバ)が亡くなって、もう1年半くらい経ったね。
昼に速報が飛び込んできて、
みんな、思うことは一緒だなぁなんて、
アベフトシ(以下、アベ)が亡くなった時、
オアシスとDJバクがお目当てで行って、勿論The Birthdayも。
そうしたらこの時も、友人知人から連絡が来て。
びっくりしてたら、次の日だったかな。
グリーン・ステージで、The Birthdayのライヴが始まって。
チバが、「捧げます」みたいなこと言って。
その後から、あんまり記憶がないっていうか。
なんか、ぼんやりしながらライヴ見てたな。
ぼんやりばっかり。

あとはミッシェルに任せた!みたいな。
いつか書きたいなと思っていたので、
このブログでは毎回、オリジナルのアナログ盤を基に書いてきたんだけど
ミッシェルは、マーケットとしてCDが全盛の時代に、
まさに、ロックンロール・バンド。
なのでマキシ・シングルもアルバムも常に、
要は、粋な洋楽マニア。
曲順やジャケも、違ったりするし。
今でこそさ、通常盤と限定盤があって、
当時は、珍しかったんだよね。
別バージョンを収録なんてなくて、あってオリジナル・カラオケとか。
アルバムも、
このシングルやアルバムでしか聴けない、ってなかなか無かった。
だからミッシェルのアルバムって、
なのでこのブログでは、CDの収録曲に準拠します。
ミッシェル結成から、今作誕生まで
1991年に明治学院大学の軽音サークルで、チバ(Vo)を中心にして結成。
結成当時のメンバーはチバ以外は脱退、その後クハラカズユキ(
これが原型となって当時のギタリストと4人編成で、⑥などのキャリア初期の代表曲を生み出していく。
少しづつ活動が波に乗り始めて、敬愛するウィルコ・ジョンソンの来日公演の前座を務めたりしたけど、ギタリストが脱退。
そしてここで最後のピース、アベ(G)が加入してミッシェルが誕生します。
※ドクター・フィールグッドについてはこちらもどうぞ
ミッシェル・ファンならね、4人(特にチバ)のルーツってもうかなり有名じゃん。
ミッシェルが売れて、雑誌やラジオでその影響を散々語ってたからさ。
海外行ってこのレコード買ってきました、みたいなコーナーもあったし笑。
クラッシュやザ・ジャムやダムド、ラモーンズにジョニー・サンダース。
ローリング・ストーンズやThe Who、ジミヘンとかは、ある程度洋楽好きなら、ミッシェル関係なくみんな知ってたけど。
ミック・グリーンのパイレーツとか、ドクター・フィールグッドがこんなに日本で売れたの、絶対ミッシェルが一役も二役も買ってるからだもん(あくまで個人の感想です)。
影響って凄いね、本物の才能は埋もれないでほしい。
ちなみにチバは大学時代に金髪のマッシュルーム・カットで、「俺はブライアン・ジョーンズだ」って言ってたとか笑。
誰にだって、若かかし頃はあるもんですよ。
※ブライアン在籍時の、ローリング・ストーンズについてはこちらもどうぞ
※ジョニー・サンダースのギターが炸裂、ニューヨーク・ドールズについてはこちら
そんなミッシェルは、R&B、ロカビリー、パブロック、パンク、モッズ、リアルタイムで聴いた日本のめんたいビートから、80~90年代のイギリスのロックまで、丸呑みするように咀嚼。
その影響を、色濃く自分達のロックに反映していきます。
そんなバンドは星の数ほどいるんだけど、ミッシェルが他と違ったのはただの物真似で終わらなかったこと。
先人達のロックンロールの時間軸を自分達のセンスで解釈して、強引に捻じ曲げちゃったとこに魅力があると思ってます。
それが独自のサウンドと強力なビート、圧倒的なグルーヴを生んだ根幹なのかなって。
メロディーも、とってもキャッチーだし。
それを武器にインディーズ時代を経て、1996年に満を持してメジャー・デビュー。
あくまで、一発録り。
生々しくてタイト、それでいながらワイルドでローファイな質感。
それが、今作です。
実際、解散までこの基本はずーっと変わらないし。
代表曲④を含む、伝説の始まりです。
楽曲解説
まずは、解散ツアーでも度々オープ二ングを飾った、
パブロックよろしく!っていうね笑。
初期のThe Whoばりの切迫感と、ドクター・
いきなりミッシェルの全てが凝縮された開幕曲です。
いちごは木になる物、っていう勘違いも可愛い②。
チバってあんな見た目だから近寄りがたいんだけど、こういう可笑しみっていうか人間臭さも魅力だよね。
日本人アーティストとして初のトリを務めた、2000年のフジロック。
「GT400」の時の、MC大好き笑。
(チバ)「今日、単車で来た奴!」
(客)「イェー!」
(チバ)「気をつけて・・、うん・・」
これ、最高。
アベのカッティング1発で決まり、フレーズもコーラスも十八番な③。
ギターフレーズにストーン・ローゼスやプライマル・
わずか43秒のインスト⑧は、
このくすぐるような違和感こそが、聴き流せないインターミッション。
こういうのを入れてくるのが、粋な
後にチバとキュウで結成する、The Birthdayのアンコールの定番曲「ローリン」を思わせる⑪。
そしてラストを飾るのは、2発目のインスト⑬。
サーフロックなエッジの効いたギターに、浮遊感漂うオルガンが見事にマッチ。
それを支えるリズム隊もひたすらグルーヴィで、言葉(歌詞)なんてなくてもとにかく痺れまくり。
「音で語る」ってな美学よね。
カッティング、ワウ、とにかく早い笑!
アクション超大作のスパイ映画っていうかさ、サントラとして聴きたいぜ。
「世界の終わり」と、ミッシェル・ガン・エレファント
メジャー・デビュー作となる今作では、
リズム隊も、とぐろを巻いた蛇みたいなヘヴィでタイトな感じも、まだ若い。
基本は、変わらない。
なんていうのかな、正直で頑固な人柄が出てる音なんだな。
これしか弾けません!みたいな。
とんでもなく、上手いギタリストなんだけどさ。
本人も、「俺はミッシェルでしか活きない」って言ってたし。
モラトリアムな音、っていうのかな。
実際、ミッシェルが解散する前から、
キュウも、ミュージシャンズ・ミュージシャンとしてサポートに回ったり。
でも、アベだけがそういう活動しなかったもんね。
するようになったのは、ミッシェル解散後。
考えすぎかもしれないけど、これがアベだったんだろうなぁって。
ミッシェル以外、興味なかったんだろうなぁって。
やっと見つけた、自分の好きなことが出来る場所。
その好きなことを、理解してくれるメンバーに出会えた場所。
そんなミッシェルにとって、言い方があれかもしれないけどさ。
なんか、呪いがかかってるみたいな。
強烈な、呪術みたいな。
その象徴が代表曲の④、「世界の終わり」だと思う。
歌って、曲って生き物なんだなって。
アレンジが違うとかテンポが違うとかじゃなくてさ、
歌詞もメロディも同じなのに、
その先にある終わりの風景が、
幕張メッセでの解散ライヴ、アンコールでの最後の曲。
ああ、やっぱり最後はこの曲なんだなって。
もう、別人だもん。
もう、別曲だもん。
チバ、声が出なくなるなよ。
搾り出そうにも出てこない言葉、圧し掛かる感情。
喉の限界を超えた限界に、潔く散るなよ。
アベ、弦が切れるなよ。
無口な男が、最後の最後でたった一言。
「ありがとう」、はずるいよ。
余談
「世界の終わり」と、もうひとつの物語
ここでひとつ、伝説的な名曲には必ずある、
同じく日本を代表するロック・バンド、ザ・イエローモンキー(以下、イエモン)とミッシェルは、時期は違えど同じ「
所謂、
イエモンがレーベルを移籍する時、
でも、断られて。
「
それを有言実行して世に送り出したのが、
吉井和哉が自伝で書いてるんだけど、
そして2000年、
そんな吉井和哉が、
泣いちまうぜ!
人の縁ってさ、不思議だよねぇ。
とっても、
使用楽器
グレッチ・シルバー・ジェット

ミック・グリーンと、ウィルコ・ジョンソンに敬愛を表して。
なんだけど、実はフェンダー製じゃないんですよ。
松下工房で作った、オーダーメイドのテレキャス。
これを、差異性を求めつつ5号器まで(5本)所有してました。
①④のレコーディングで使用。
最後に
他にも、オーダーメイドのモッズ・
歌なしの、インスト曲も好んでレコーディングして発表したり、
とにかく、ビジュアルもアティチュードも、
「これが俺達だ!」っていうさ。
歌詞も、意味というよりは音を大事にした結果だし。
そのチバの詞の世界は、次作「High Time」から少しづつ、映画のような物語性を帯びていきます。
黒のモッズ・スーツは着ても、中は白いシャツだったり。
これが段々と、全身が細身の漆黒に変わっていきます。
ミッシェルの一般的なイメージって、これなんじゃないかな。
キュウのモヒカンも笑。
あれ、良く見つけたよね。
めちゃくちゃ似合ってるし、モヒカン前のキュウって童顔なのもあって、お坊ちゃんみたいだし笑。
ライヴハウスでしのぎを削りまくった、地力だよね。
デビュー前から、ライヴ・
生の観客こそが、一番厳しい批評家なんだもん。
出来たばかりの新曲を発売前にライヴで演ってみて、
メディアのプロモーションや、
時代としては、良いことなのかもしれないけど。
なんか、権力を持つごく僅かな大人達が、
でもミッシェルをはじめとした本物のロックンロール・バンドは、
自分達の代表曲とかヒット曲のイメージからは想像できない、
生には、やっぱり勝てない。
例えキャパが小さくてもステージがあれば、
同時に、ロマンチシズムも併せ持ってたし。
それがルックス的にも音楽的にも、図抜けてたなぁって。
ミッシェルはどれも名盤なので、また書きたいと思います。

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。
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この記事を書いた人

Kazuki
合同会社Gencone ナラセル運営代表
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