必殺技を手にしたバンドは、べっちょりとした指で世界中を踊り狂わしたのさ。

目次
The Rolling Stones/Sticky Fingers
1971年作品
収録曲:A面
収録曲:B面
⑦I Got The Blues
⑨Dead Flowers
ただね、
ど真ん中にファスナー(
ちゃんと、
ファスナーひとつで、圧っていうか迫力が凄いぜ。
ってことはよ?その先には・
そらそうだよね、
ってそんなんどうでもいいっすよね、
それが今作です。
筆者の周りだと、
最も有名なのはやっぱり、
通称、「バナナ・ジャケ」。
あれもね、
「
今作のファスナーもそうだし、
当時、そして現在も、
1970年代後半のパンク・
結果論だけど、
大名盤「レット・イット・ブリード」発表後から、今作誕生まで
前作「レット・イット・ブリード」については、こちらもどうぞ
ブライアンの追悼ライヴでテイラーを観客に初お披露目し、マジソン・スクエア・ガーデンでのライヴも大盛況。
ストーンズは、批評もセールスも好調な大名盤を引っ提げてライヴに明け暮れます。
それは再びブルースに根差したロックンロールを鳴らしまくる王者の姿ではあったけど、実はバンドは同時にハード・スケジュールにして過渡期でもありました。
それは、環境の変化。
それまでのレコード契約終了に伴って、まずは自分たちのレーベル「ローリング・ストーンズ・レコード」を立ち上げ。
こんな時は、往々にして全てを一新するもの。
ミックは、名刺代わりの新しいロゴ・デザインを探していました。
そこで大学院生だったジョン・パッシュに依頼して作られたのが、この余りにも有名なシンボル・マーク。
通称「舌と唇」です。
早速シングル①や今作のインサートに使用されて、現在まで続くストーンズのアイコンがここに誕生。
後のスタジアム・コンサートで、でっかいオブジェを作ってステージに設置するようにもなります。

続いて、レコーディング環境も進化。
トラックに録音機材を搭載した、移動スタジオまで作っちゃった。
もうね、発想がすごいよね。
資金力は勿論、創作意欲が旺盛なことを物語ってます。
これによってじっくり時間をかけた録音が可能になって、好きな時に好きなだけ楽曲制作が出来るようになりました。
自分たちが自由に使えるスタジオを持つって、ミュージシャンやバンドマンならみんな夢なんじゃないかなぁ。
毎回金払って、2時間コースを予約して。
でも楽器や機材の設置と撤去、明け渡しのタイミングとかもあるから、実質2時間丸々は使えないもどかしさが、貸しスタジオあるあるだもんね。
更にはこの移動スタジオは空調まで完備の徹底ぶり、何処に移動してもどんな土地や気候でも、作業に支障をきたさない。
この万能感は評判を呼んで、ストーンズが使用しない時はレンタル業まで始めて。
いやー、ビジネスの才覚にもほとほと感服です。
ZEP、ボブ・マーリー、ブラック・サバス、ディープ・パープルといった錚々たるメンツが借りて活用したらしいよ。
それは自身のレーベルから、満を持して発表。
そしてこの移動スタジオとアラバマ州のマッスル・ショールズ・スタジオ、ロンドンのオリンピック・スタジオで着々と制作が行われて完成に至ったわけ。
楽曲解説
これは本来6本の弦で鳴らすギターを、6弦を取り外して5本の弦にし、更にオープンGにチューニングするというもの。
オープンGチューニングでは、バレーフォームでメジャーコードを鳴らせる。
これ以降、キースのギター・
ストーンズにもたらした、最強の武器といってもいいくらいの大発明。
間奏で、
ボビー曰く、1テイクであっという間に仕上がったそうで、乗りに乗りまくってたんだろうなぁ。
考えるなよ、
珍しくキースのギター参加はなし、
ファンキーでジャジーな7分以上に渡る④は、テイラーのギターとボビー・キーズのサックス・
③
エアロスミスも採り上げた、今作でのブルース・カヴァーはミシシッピ・フレッド・マクダウェルの⑤。
そして盤を引っ繰り返して、⑥。
これよこれ!
①に並べるの、つーか超えちゃってんの
筆者のストーンズ・ランキング、
もうね、銀河ギリギリ!
悟飯覚醒、ボージャックなんてワンパンですよ。
一緒に酒なんか吞みたくないぜ、
ファンク!ロック!パンク!
ソウルフルっ言葉を、いつも思い出させてくれる⑦。
って、妙な感慨に耽ったのを覚えておりやす。
月日が経てば経つほど、
聴く度に思います。
①④⑥
⑧のモーフィンとは、モルヒネのこと。
むせび泣くライ・クーダーのスライド・ギターを軸に静と動を行き来しながら、
同時期に発表された、ZEPの
そして隠れた人気曲、カントリーロック⑨。
シンプルなコード進行と8ビート、
簡単に見せてるけど、絶対に出せないし演れないストーンズ・マジックの真骨頂。
ラスト⑩は、タイトルからしてロマンチックな美しいバラード。
一聴すると、ストーンズらしくないんだけどね。
艶めかしくてメロウで不思議な魅力を醸す、まるでロードムービーです。
終わって盤から針が離れて定位置に収納された後も、いつまでも余韻が続くこと間違いなし。
影響と、その後のストーンズ
ブライアン亡き後に、正式にギタリストとして加入したテイラーを迎えた第2期のストーンズ。
その再出発となったスタジオ・アルバムでもある、今作。
セールス面での成功もあるんだろうけど、その完成度にミックとキースも後々までお気に入りの1枚だと公言しているし、テイラーもストーンズに在籍して発表した(1974年作品「イッツ・オンリー・ロックンロール」まで)作品の中では1番好きとコメントしてます。
あとはね、やっぱ①で聴ける「オープンGチュー二ングの6弦なし」。
キースの代名詞になったこの大発明は、ストーンズをもう1段階格上げすることになったのは承知の事実。
音楽性としても、ステージでの魅せるエンタメとしても、ここから前代未聞の王道が拓けていく。
同時にね、弾いてんだか弾いてないんだかよく分からないキースになっていくんだけど笑。
テイラーや後のロニーという職人気質のギタリストが居てくれるから、キースは史上最高のリズム・ギタリストへと変貌していく。
おじいちゃんになって現在に至るまで、あのリズム・ギターはキース以外の誰にも弾けないのは周知の事実。
ただ、チンタラ弾いてるわけじゃないのよ。
チンタラ弾いてるんだけどさ笑。
こうして世界中が、ストーンズの意のままに踊り狂わされたってわけですよ。
余談
使用楽器
・ギブソン・レスポール・スタンダード(1959年製)

キースはお馴染みのBlack Beautyをメインで使用しつつも、今作では1959年製のギブソン・レスポール・スタンダードも使用。
1969年~1973年の間にテイラーと共に共有した1本です。
上記の①⑥のライヴ映像は1972年だけど、使用が確認できます。

テイラーは、ギブソンSGスタンダード。
ビグスビーの付いたこのギターは、1969年~70年の期間、テイラーの相棒として広く知られてます。
2本とも、ライヴ・アルバム「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」のジャケで使用されました。
チャーリーの左手に、レスポール・スタンダード。
お馬さん(ポニーかな?)の胸元に、SGスタンダード笑。

最後に
ブルースやソウルのR&B、
それを齧ったり舐めたり嗅いだりしながら、
そうやって産み出されたものは、
これこそが、
ルーツに遡行しながらも、
とにかく、手際が鮮やかすぎて眩しいくらい。
前述した制作環境の変化もあって、前作までには無かった、
そしてこの自由で無敵の流儀が、次回作「メイン・
勿論、

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。
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この記事を書いた人

Kazuki
合同会社Gencone GANNON運営代表