墜落する筈だった飛行船は、ロック史上最高到達点に達したのさ。
目次
Led Zeppelin/S.T.
1969年作品
収録曲:A面
①Good Times Bad Times
②Babe I’m Gonna Leave You
③You Shock Me
④Dazed And Confused(幻惑されて)
収録曲:B面
やっぱりどちゃくそにかっこいいね、レイジは。
ギター・リフとフレーズに、隙がないもん。
これは、
今回は、
思ってませんけど、
違うじゃない、
ZEPにとっても、
「ロック史上、
ぶっちぎりで、ZEPですよ。
楽曲の幅と奥行き、ヴィジュアル、技術、影響力、セールス、完成度。
そのどれもが、破格。
その偉大なる第一歩を刻んだ大名盤、それが今作です。
結成から、今作の誕生まで
まずは、メンバー紹介を。
ギター、ジミー・ペイジ。
必殺ギター・リフ製造マシーンにして、バンドの発起人でリーダー、プロデューサー。
エリック・
そんな彼が新バンドの構想をしながら、
その誘い文句は、「
うん、シンプルで良い。
バンドが売れるには、
ヒット曲を出すためには、人気もなくちゃならないし。
勿論、
そしてプラントの推薦でやって来た、ジェイムス・
最後に、ペイジと同じくセッション・
その多才な音楽性と技術力は、ペイジにとってはまさに理想的なパー
こうして遂に、最強の4人が揃います。
ジョンジーは「
今後のZEPの軌跡を、
そして、「ニュー・ヤードバーズ」
この名前は、音楽仲間でもあったザ・フーのキース・ムーンが「
そう、
今作の、ジャケットですよ。
重さと軽さ、
イマジネーションを刺激してきやがるぜ。
そしてペイジのプロデュースのもと、
4人の多様な音楽性を反映し、ブルース、フォーク、サイケデリック、
楽曲解説
まずは、アルバムのオープニングトラックであり、シングル曲の①
インパクト、強烈。
2007年の再結成ライヴでも、
同じくシングル⑦もそうだけど、
⑦はパンク・ロックの元祖とも言える、
ペイジのギター・テクニックの多様性が発揮される②、
③
そして個人的に今作のハイライト、
静と動、
アルバムの最後を飾る⑨は、8分28秒の大作。
様々な曲のフレーズを断片的に組み合わせるという手法が、最後までこちら側を飽きさせない。
実験的なポテンシャルを、これでもかと聴かせてくれます。
A面・B面の全体の流れ、構成も完璧で、⑧から⑨に引き継がれていくとこなんて、いつ聴いてもドキドキするもんなぁ。
稀有な才能を持った4人が奇跡的に集まって、それぞれが高め合ってモンスター・バンドへと化けていく。
本人たちがどう思っているかは分からないけど、奇跡と呼ぶしかない出会いで結成されたバンドは、確かに存在する。
ロックンロール界の、巨人たち。
それは、ZEPもまた然り。
今作は、その最初の巨大な一歩を記録した、「ロック史上に輝く1枚」と語ることしか出来ないアルバムです。
影響と、その後のZEP
コンサートやライヴという場所において、それまでのロックを「
これだけでも偉大な功績なのに、
ブルースを基調にした大音量で叩きつける3人のパワフルな演奏と、それと互角に渡り合うプラントのボーカル。
ね、前回のレイジが、もろに影響を受けてるのが分かるよね。
前述したように、「ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの元祖」と呼ばれるけど、実際に額面通りのハード・ロックを制作してプレイしたのは、2ndアルバム「Ⅱ」までと言われてます。
3rd以降は、意識的にその音楽性を変化させていく。
天才的プロデューサーのペイジが、フレージングとリズム認識に新たなメスを入れていくわけ。
単調なリフを延々と繰り返して、音の壁を作っていくような作風が聴けます。
1969年の今作に始まって、1976年の7thアルバム「
ここからは少し端折るけど、ZEPは1980年に解散を迎えます。
理由は、ボンゾの急死。
ZEPくらいの頂点バンドなら、代わりはいくらでも見つかるじゃん、って思うよね。
実際、ストーンズもザ・フーも代わりのドラマーを入れて、活動を続けてるし。
でも、ZEPは迷うことなく解散した。
単純に、ボンゾなしではもう音楽が出来ないから。
成り立たないから。
ペイジの音楽的冒険を後押しして、時には先導も出来たドラマーは、後にも先にもこの世界では、ボンゾしか居なかったから。
ボンゾが、死んだ。
じゃあ、もう無理だね。
メンバーだけじゃなく、ファンも納得してしまったこの事実こそが、よりZEPの偉大さを物語ってます。
あとは、ジミー・ペイジ=ギブソン・レスポールのイメージの確立。
ロック好きやギタリストの間では、もはや常識です。
代表曲「天国への階段」で使用されたギブソン・EDS-1275(ダブルネックのギター)やアコースティック・ギターもよく映像で見るけれど、やっぱりペイジと言ったらレスポール。
このイメージの確立、アイコンというだけでも影響力は絶大。
問答無用でかっこいいもんね、ザ・ギタリストって感じで。
特に70年代中盤のさ、ドラゴンスーツとの相性ですよ。
この頃は、スタイルも良いし(失礼しました)。
それから、腰より低い位置で弾くってやつ。
これ、みんな一度は真似したんじゃないかな。
で、弾きにくい笑。
エアロスミスのジョー・ペリー、ガンズ・アンド・ローゼスのスラッシュ等、現在もみーんな真似してるもんね。
なんだけど、実は今作や初期ではフェンダー・テレキャスターを使用。
次項で解説します。
余談
使用楽器
・フェンダー・テレキャスター(1959年製)
1966年のヤードバーズ時代に、ジェフ・ベックから譲り受けた(!)もの。
8枚の丸型ミラーをボディに貼り付け、光を反射させて神秘的なイメージを醸し出そうとしたとか。
正直、凡人にはわかりませんこのセンス笑。
その後ミラーを取り外し(やっぱり!笑)、自らサイケデリックなドラゴンのデザインを塗装。
今作のレコーディングでも、大いに活躍することになります。
最後に
いかがでしたか。
その後のZEPの歩みの全てが予告され、同時に1970年代ロックの大いなる可能性が宣言された、恐るべき今作は。
全編にみなぎるこのデリカシーと、極度の美意識。
ZEPのサウンドは、当初から各メンバーの多様な音楽的嗜好の衝突と融合の中で練り上げられたものなんだけど、摩訶不思議な深みと闇を孕んだもはやフュージョンが、同時に前例のないテンションと強度をも誇るっていう、文字通り前代未聞だったわけで。
全アルバムについて書きたいくらいに言葉が足りないので、いつかまた書きますが。
レゲエやオリエンタル・メロディすらも導入していく多彩な歩みを、是非聴いてみてください。
こんなロック・バンドは、絶対に未来永劫出てこないよ。
断言しちゃうぜ。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。
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この記事を書いた人
Kazuki
合同会社Gencone GANNON運営代表