即席、茶番、ヤラセの、偉大なるロックンロール詐欺事件が生み出したロンドン・パンクの旗手。
即席、茶番、ヤラセの、偉大なるロックンロール詐欺事件が生み出したロンドン・パンクの旗手。

目次
Sex Pistols/Never Mind The Bollocks(勝手にしやがれ!!)
1977年作品
収録曲:A面
収録曲:B面
ロック如きがアートぶるとか、面倒くせえんだよ。

実際、筆者は騙されました。
ピストルズ結成から、今作誕生まで
これにブティックの経営者で、ニューヨーク・ドールズのマネージャーを務めたこともあるマルコムが眼を付けます。
楽曲解説
筆者は初めて聴いた時、あまりのオーソドックスさに逆に驚いちゃって。
チンピラ4人で、しっかり曲を作って。
初心者4人がしっかり、練習したんだなって。
ロックやパンクの魅力ってさ、レコードを聴いてガツンと衝撃を受けた時に。
あ、自分でも出来そうだなって思えること。
スーパー・テクニックなんて必要なくて、誰でも直ぐにプレイ出来そうなところが良いんだよね。
親切なところも、重要ポイント。
ブルーハーツやグリーン・デイは、いつだってストリート・キッズの味方。
※ブルーハーツについては、こちらもどうぞ
「英国女王陛下、おまえに未来なんかないぜ」と、王室批判をアイロニックに繰り返す④。
全世界に存在する組織的宗教集団を糾弾する、「俺は反キリスト」⑦。
続けて、「俺は無政府主義者」。
当然、ラジオで放送禁止になりました。
ピストルズなんてどうせ中身のない頭の悪いチンピラ達が、スキャンダルを売りに騒いでるだけのイロモノだろ。
ってな世間的なイメージを覆すには、十分過ぎた。
あっ!と言わせるには鋭利過ぎた、ウィットと知性。
現代にも通じる、ストリート・キッズからの反撃の狼煙。
それだけじゃなくユーモアもあって、歯に衣を着せない芯を喰ってる感じも面白い。
シンプルなロックンロール+反社会的なメッセージ+粗暴なボーカルとギター・サウンド=パンク。
その雛型を、世界に生み落とした偉大すぎる功績。
緊迫感と斜に構えた小馬鹿感が矛盾なく同居しつつも、溢れんばかりのエネルギー迸ってるのも、かっこいいよね。
シド・ヴィシャスという、パンク・アイコン
あれ?ここまででシド・ヴィシャス(以下、シド)の名前、出てきてなくない?
ピストルズのベーシストって言ったら、若くしてドラッグで死んだシドじゃないの?
って思った方も、いると思います。
ピストルズが活動を開始して間もなく、バンド内のパワーバランスが分裂。
マブダチ同士のスティーヴとポール・クック、ソングライターのグレン・マトロック、そしてロットンという、三つ巴に。
まさに、三国志です。
そこでソングライターとしては優秀だったけどピストルズのカラーに合わないという理由で、まずはグレンがクビに。
そして2対2のバランスを作る為、今度はロットンがマブダチを連れて来た。
これが、シドだったわけで。
ロットン(腐敗)と、ヴィシャス(乱暴者)。
どっちも、芸名。
がなる様に歌う、カリスマ性を放つロットンと。
上半身裸で流血しながら客を煽りまくる、破滅の象徴、シド。
こうして誰もがイメージする、ピストルズは再出発します。
けれどマルコムによって作られたピストルズの虚像と、良く先々でのトラブルに疲弊し切ったロットンは、アメリカ・ツアー中に突如脱退。
そしてピストルズは、たった2年で解散へと向かいます。
ちなみに今作のレコーディングで、シドはベース弾いてないって知ってた笑?
初めて知った時、そこまで詐欺なんかい!ってますます好きになった笑。
話題性重視で加入したから、録音時に知識も技術もなく弾けなかったっていう。
そんな音楽的ド素人が、どうしてパンク・アイコンなのか?
ドラッグのオーバードーズで、若くして死んだから?
それもあるだろうけど、シドが他のメンバーとも他のパンクス達とも違ったのは。
全てに、「No」を叩きつけたこと。
刹那に、生きたこと。
ロットンでさえ、ピストルズ脱退後は新しい可能性を探ってPILを結成。
クラッシュやジャムといった他のロンドン・パンク勢も、新しい表現を模索しながら成熟期へと突入してました。
ピストルズは、ロックの発展や進化を否定、音楽的決まり事を否定、女王陛下を否定、そしてバンドの未来すらも否定した。
ただその後もシドだけが、自分の人生すらをも否定したんだよね。
大馬鹿っていえば大馬鹿なんだろうけど、「No Future」に殉教したのはシドだけだった。
刹那に生きたから、永遠のパンク・アイコンになった男。
きっと今も地獄で、あらゆるものに「No」を叩きつけてる筈だよね。

余談
使用楽器

「グレート・ロックンロール・スウィンドル」と「ノー・フューチャー」


最後に
全世界を震撼させた、ロンドン・パンクの衝撃波の第一人者と発信源にして。
現在もパンクのアイコンとして不動のポジションに君臨する、ピストルズの実態は。
メンバーは、チンピラ・音楽素人の寄せ集めとか。
ボーカルがオーディションで選ばれたとか、ベースは口パク(弾けないって意味で)とか。
ザ・芸能界の匂いがプンプン、ハッタリと勢いだけの販売戦略、傍迷惑な話題作り。
「No」を叫ぶ為に結成されたんじゃなくて、「No」を言わされる為に集められた烏合の衆。
何から何まで、人工的で虚像のピエロ。
ロットンが解散後、芸名を本名の「ジョン・ライドン」に戻したのも、嫌気が差したからだよね。
デンジャラスで卑猥で、でも稲妻の如く駆け抜けた怒涛の2年間だったことは。
騙されたって、良いじゃない。
ロックンロールやパンクは、詐欺で良いじゃない。
シンプルでエネルギッシュ、
ど
ロックンロールを通して、怒りと退屈に満ちたキッズ達に、パンクという贈り物をくれた詐欺バンドのお話でした。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。
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この記事を書いた人

Kazuki
合同会社Gencone ナラセル運営代表
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