世界一有名なバナナは、夢見るメロディーで始まり全てを破壊するノイズで終わる。

目次
The Velvet Underground/The Velvet Underground & Nico
1967年作品
収録曲:A面
収録曲:B面
前回のブログで、次回は「メイン・ストリートのならず者」
すいません、それはまた次回ってことで。
「スティッキー・フィンガーズ」のジャケでアンディ・
ジャケ繋がりってことで、ご了承ください。
ロックやアートにそんなに関心がない人でも、
チラッと見たことある程度でも、
天才ミュージシャンと呼ばれる人は、
この人も、間違いなく天才。
その4作品も、解散後に続々と発掘されたライヴ・
なんだけど、
というのもさ、なんかセンスの分かれ目的なさ。
ジャケが余りにも有名すぎて、
勿論、すんげー名盤なんだよ?
でも、他を挙げたいみたいなさ笑。
ヴェルヴェッツも、2nd、3rd、
ステッカーになっているバナナをゆっくりと剥がしてから、
ヴェルヴェッツ結成から、今作誕生まで
例えば、
そして音楽だけじゃなく、数々のカルチャー・
ヴェルヴェッツは、ここで誕生します。
21世紀だと、ザ・ストロークスなんかもそうだもんね。
あくまで便宜上でのカテゴライズとして、ルー・
ジョン・ケイルは、クラシックを土台に電子音楽やミニマル・
ヴェルヴェッツの核ともいえる、この2人を中心にバンドを結成。
そしてスターリング・モリソン(ギター)と、紅一点のモーリン・
ところで、偉大なロック・バンドに偉大なドラマーあり、
ストーンズにはチャーリーがいるし、
並んでザ・フーには、ムーニー。
それと比べると技術的には劣っちゃうんだけど、
削ぎ落しまくりのドラムセット(シンバルとかほぼなし)で、
余計なテクニックなんて不要、
ほんとにね、もうめちゃくちゃ好き。

芸術家として、
ウォーホルは音楽だけじゃなく、ダンスやフィルム、今でいうところのプロジェクションマッピングみたいな照明装置を織り交ぜた、マルチメディア・イベントを構想していた。
当時最も活動的で扇動的だったカリスマ・アーティストが、
ルー・リードのヴォーカルではなくて、③⑥⑨
ウォーホルの条件や意向に沿って行くことに、ルー・
デビューと引き換えに、

楽曲解説
早速だけど、やっぱ歌詞だよね。
それまでの音楽には無かった、タブーを題材にした歌詞。
ルー・リードの、革命的歌詞。
ロックンロールに、表現力の深淵をもたらした歌詞。
②の邦題は、「僕は待ち人」。
なら、26ドルを握りしめたまま、裏通りで何を待っているのか?
それは、ヘロインの売人。
女の性(さが)を無機質に語る③、倒錯のセックスを④で歌えば、その名の通り注射針が刺さっていく様子を綴る⑦。
シンデレラを小馬鹿にするような、悲劇は喜劇とも読み取れる⑥。
SMと同性愛を匂わせる⑩。
それを、これまたルー・リードが生み出すシンプルなコード進行と、ジリジリとした渇望感と諦めに似たニヒルなビートに乗せて。
ロック畑ではないジョン・ケイルにしか作れない、ノイジーでドラッギーなサウンドが炸裂していく。
①も初めて聴いた時、あれ?なんか思ってたのと違うってなったもんね。
キャッチーで、キラキラしてんじゃんって。
ドリーミー・ポップじゃんって。
それもその筈、あまりにアヴァンギャルドな楽曲しか持ってなかったヴェルヴェッツにレコード会社が難色を示して、売れそうなポップなやつを書け!って言われて。
ルー・リードとジョン・ケイルが、急遽作ったのがこれ。
なんだよ、やれば出来んじゃん。
そらそうか、天才なんだから。
相変わらず、歌詞が怖いけど笑。
個人的に今作のハイライトなのが、フォーキーな⑨。
なんだろうね、
心が洗われるを通り越して、
⑥もそうだけど、
そして最後は、⑪。
なんかね、一編の物語みたい。
①から始まって、ニューヨークに暮らす人間模様、人間の本質が次々と歌われていって、フィードバック・ノイズにその身をズブズブと沈めていく幕引き。
無に、還っていく。
退廃と倒錯に彩られた物語は、再び地下世界へ潜っていく。
夢見るメロディーで始まって、全てを破壊するノイズで終わるんだよ。
影響と遺産
ロックンロール、フリージャズ、ドゥーワップ、フォーク、
猥雑なニューヨークのストリートで躍動する様々な表現手段が、
暴力的なフィードバック・ノイズ、
グラム・ロックもニューウェイヴも、
パンクやグランジのノイズと破壊衝動も、ポスト・
ヴェルヴェッツこそがその源流であることは、
信じられないくらい売れなかったそうで、
評価ってね、何なんだろうね。
今でこそ大名盤って言われてるけど、分からないもんだよね。
後の世代だとパティ・スミス、テレヴィジョン、トーキング・
ニルヴァーナも、カヴァーしてるし。
例えばさ、ラーメンって嫌いな人ほぼほぼ居ないけど、
でもね、今作はそうじゃないのよ。
甲本ヒロトの言葉です。
誰にでも分かる言葉で、誰にでも分かる例えで。
何かを語らせたらこの人の右に出る人、居ないなぁ。
余談
使用楽器
・エピフォン・リビエラ

この時期から使用し、後年のソロ時代でも相棒だったギター。
ソロ・キャリアにおける大名盤、「トランスフォーマー」(
ルー・リードの特徴的なギタープレイであるカッティングとフィードバック
グレッチ・カントリー・ジェントルマンも弾いてるしね。
シンプルなコード進行でのソングライティング、
他にも、フェンダー・テレキャスターやES-335を使用。

最後に
ポップ・アートの寵児アンディ・
人間は、どこまで行けるのか。
っていう誰もが限界を目指してぶっ飛んでいくことが当たり前だっ
それを誰よりも間近で観察したヴェルヴェッツを超えるバンド。
そしてルー・リードを超えるロックンローラーは、
ここまで劇的な深化を生み出したロックンローラーって、実は数えるほどしか居ないって思ってて。
ジョン・レノン、ディラン、デヴィッド・ボウイくらいじゃない?
ジョンもボウイもルー・リードも、みんなディランから影響受けてるから、単純にディランが一番凄いのかもしれないけどさ笑。
でもね、ルー・リードは他の3人とは明らかに違ってたもんね。
ディランは、恥ずかしさ(≒シャイさ)と面倒くささから、常にロックと距離を置こうとしてた。
ジョンは原点回帰っていうか、節目々々でロックンロールに意識的に立ち返ろうとした。
ボウイは、ロックとアートを常に知的にコントロールした。
一方のルー・リードは、刺激的で露悪的。
なんだけど、なんか醒めてるんだよね。
ずーっと、醒めてる。
他者の理解を拒絶して、共感を打ち砕くことに、徹底的。
スキャンダラスでハードボイルドな歌詞、稚拙に言うと誰よりもエグイ表現なのに、その感情の起伏の無い冷徹なヴォーカルもあって、演歌でいうところのこぶしがないっていうかさ。
だからロックンロールを深化はさせたけど、その先にはなーんにもなかった。
荒々寒々とした、更地しかなかった。
容赦なく暴かれた人間の闇っていう入口で出会うものは、エクスタシーに満ちた荒野のロックンロール。
禁断は、極上。
それがヴェルヴェッツにとっての、ルー・リードにとってのロックンロールだったんじゃないかなって思います。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。
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この記事を書いた人

Kazuki
合同会社Gencone GANNON運営代表
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容赦なく歪んでいく白い光と熱は、愛と平和に牙を剝き、終わりの始まりを告げた。

ならず者達の泉は、 何度汲んでも。枯れることも、尽きることもないんだ。

世界一有名なバナナは、夢見るメロディーで始まり全てを破壊するノイズで終わる。

必殺技を手にしたバンドは、べっちょりとした指で世界中を踊り狂わしたのさ。

乞食の宴は、黄金期の幕開け。傍らには、置き土産のスライド・ギター。
