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ロックから生まれたブレイクビーツとサンプリングの発明

目次

イントロダクション

ブレイクビーツとサンプリングは、今や音楽制作の中で欠かせない要素となっています。しかし、その歴史や出会いについてはあまり知られていないかもしれません。

本記事では、ブレイクビーツとサンプリングの歴史について解説します。また、ブレイクビーツとサンプリングが現代に与える影響や具体的な楽曲についても触れていきます。音楽制作に携わる人はもちろん、音楽好きな方にも興味深い内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

ブレイクビーツとは何か?

ブレイクビーツとは、「既存の曲から抜き出したリズムパターンやフレーズの一部分(ブレイク)を使用し、その部分だけを繰り返し聴かせるビート」、もしくは「そのブレイク部分を編集、再構築したビート」のことを言います。

しかし現在までにブレイクビーツの存在が認識され始め、楽曲の制作方法が多様化したことで、元よりこの言葉の意味が広義に解釈されており、「ブレイクを使用したDJプレイのスタイル」、「抜き出したブレイクを含んだ元のオリジナル楽曲」、または「ブレイクのドラムパターンをさらに分解し、サンプラーにて取り込まれた素材自体」などを言及する際にも使用されます。

使用例

ブレイクビーツの使用例としていくつか楽曲をご紹介します。

最も有名な定番ブレイクであるIncredible Bongo Band “Apache”は、ブレイクビーツの誕生から現在に至るまで、年代を問わず多数の楽曲で使用されています。

・オリジナルの楽曲

Incredible Bongo Band “Apache”

・使用された楽曲

Grandmaster Flash “The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheels Of Steel”

Nas “Made You Look” 

前者はシンプルなドラムパターン部分を使用し、後者はドラム以外のインストもそのまま使用しています。前者も後者も同じ楽曲を使用していますが、引用箇所も使用方法も違います。

この使用例はごく一部で、現在までに多くのブレイクが発掘されており、この偉大な発明は音楽制作における、まさにエポックメイキングな出来事でした。

ブレイクビーツの歴史

1970年代より、ニューヨークのブロンクス地区で、ブロック・パーティ(街角や公園にて開かれた屋外のDJパーティ)にて曲を流す際に、DJのクール・ハークが2台のターンテーブルと同じレコードを2枚使って、同じドラムブレイクをかけ続ける手法を生み出したことが由来とされています。そこにMCや合いの手を加えるスタイルや、スクラッチなどDJプレイに変化を加えるテクニックが生まれ、ヒップホップ・ミュージックの礎を築きました。

1970年代後半に入ると、ブレイクビーツを使ったレコードがリリースされるようになり、一般にも広く知られるようになり、また、1980年代に入ると、イギリスで興ったブレイクビーツを使ったダンスミュージック(ブレイクビート、ハウス、テクノなど)も、世界的に人気を博するようになりました。

最初期のラップ・レコードとして有名なのが、Chicの名曲”Good Times”を引用した(実際はプレイヤーによって弾き直された)Sugarhill Gangの”Rapper’s Delight”です。

Sugarhill Gang ”Rapper’s Delight”

Chic ”Good Times”

サンプリングとは何か?

サンプリングとは、「他の音源から音を取り出し、それを再利用する技術」のことを指します。

70年代末からシンセサイザーやドラム・マシンの普及により、エレクトロ・サウンドが流行。DJのアフリカ・バンバータは、往年のソウルやファンクの楽曲に加え、さらにロックやテクノなどネタとして導入しました。Kraftwerk “Trans Europa Express“をサンプリングし、ドラム・マシンのTR-808で作り上げた名曲”Planet Rock“が誕生。のち続くTR-808を使用したエレクトロ・サウンドのブームを生み出し、ヒップホップにおけるサンプリングによる楽曲制作の源流となりました。

現在は、既存の楽曲のみならず、ヴォーカルやフレーズはもちろん環境音などあらゆる音を素材として扱っており、サンプリングという方法は音楽制作において欠かせない技術の一つとなっています。

・Afrika Bambaataa “Planet Rock“

・Kraftwerk “Trans Europa Express“

ロックの楽曲から生まれたブレイクビーツ

多くのDJが我先に未知のブレイクを探すのに競い合ったことで、ネタ元が往年のファンクやソウルを問わず、ロックを含むあらゆるジャンルまで手が伸びていきました。

80年代半ばに、定番化したブレイクビーツを集めた『Ultimate Breaks & Beats』というオムニバス盤がリリースされ、各楽曲にアクセスしやすくなったことで、ブレイクビーツをサンプリングした楽曲がさらに増えていきました。

ここでは数多くのロックの楽曲より厳選された、人気のブレイクビーツをご紹介します。

・The Monkees “Mary, Mary“

使用楽曲:Run-DMC “Mary, Mary“

1960年代後半に活躍したポップ・バンドであるThe Monkeesは、サンプリング元として様々な楽曲が引用されていますが、特に人気なのが“Mary, Mary“。

デフ・ジャム(1984年に設立されたヒップホップ・レーベル)の創始者であるリック・ルービンが手掛けた2MC1DJの伝説的グループ=ラン・DMC。本作ではスクラッチを多用し、タテ乗りでロッキッシュな曲調でリメイク。ブレイク・ビーツとロックを融合させ、人種やジャンルを超え幅広い人気を獲得しました。4thアルバム「Tougher Than Leather」収録。

使用楽曲:De La Soul “Change In Speak“

一方、ナードなキャラクターで人気のNY出身の3MC=デ・ラ・ソウルは、シンプルにドラム・パターンのみ引用。他楽曲のサンプリングとの自由奔放な組み合わせは、ブレイクビーツの楽しさとサンプリングの妙を味わえます。1stアルバム「 3 Feet High and Rising」収録。

・Paul McCartney “Momma Miss America“

使用楽曲:Beastie Boys – Johnny Ryall

先述のデフ・ジャムと契約、パンクとラップを融合させサンプリングを多用した、独自のミクスチャー・サウンドで人気を博した3人組。プロデューサーのダスト・ブラザーズの手により、ピンク・フロイド、ダニー・ハサウェイ、ポール・マッカートニー、どんなサンプルもひとまとめ。カラッとしながらどこか哀愁を帯びた仕上がりに。トラックに併せて、世知辛い現実をユーモアにラップするMCのセンスも光っています。2ndアルバム「Paul’s Boutique」収録。

・The Steve Miller Band “Take The Money And Run“

使用楽曲:N.W.A “Gangsta Gangsta“

いわずと知れたギャングスタ・ラップの雄による名盤に収録。本曲で使用されている十以上(!)のサンプリング・ソースの中でも、この古典的なドラム・ブレイクが印象的に使用されています。けたたましく鳴るサイレンに軽薄でファンキーなビート、物騒で下品なリリックが相まって、文句を言わせぬ強力な一曲に。

※「WhoSampled」で元ネタを探してみよう

「WhoSampled」というサイトはご存じでしょうか。楽曲で使用されている元ネタやサンプリングを検索できるデータベース・サイトです。

ジャンル問わず94万曲以上が登録され、楽曲を並列に、どの部分がどの箇所に使用されているかが一目でわかる仕様になっています。

気になる方はぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

「WhoSampled」のサイトはこちら

まとめ

ブレイクビーツとサンプリングは、音楽の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。ブレイクビーツは、リズムの断片を再利用することで新しい音楽を作り出すジャンルであり、サンプリングは、過去の音源を再利用して新しい音楽を作り出す技法です。これらは、現代の音楽制作に欠かせないものであり、過去の音楽が現代の音楽に影響を与えるサイクルを生み出しています。

ぜひ自身の楽曲制作やリスニング体験に生かしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Kouta
Kouta

合同会社Gencone代表

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