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ジェームス・ブラウン:2023年に生き続けるファンクの魂

「あんたの持っているレコード。そのどれにも俺の片鱗がある。ラップでも歌でも何でもすべて、俺の影響を受けている。」

<ゴッドファーザー・オブ・ソウル>ジェームス・ブラウン(以下JB)。ファンクを創造し、20世紀のポピュラー・ミュージックに最も影響を与えた人物の1人です。日本でもコマーシャルな存在として、往年の音楽ファンからサンプリングで知った若いヒップホップ世代まで、その名だけでも認知されているかもしれませんが、現行のリスナーにどれだけ彼の楽曲が知られているでしょうか。

本記事では、流行りの音楽は聴くがJBを知らない方やあまりJBの音楽に触れてこなかった方に向けて、2023年現在の楽曲にも通じるクロスオーバーな音楽性とバックグラウンドをご紹介したいと思います。

目次

簡単な略歴

1933年、米国サウスカロライナ州バーンウェル生まれ。彼は10代の頃から音楽のキャリアをスタートさせ、1950年代には親友ボビー・バードとゴスペルグループ<フェイマス・フレイムス>の一員として活動。リード・ボーカルとしてJBが頭角を現し、キングレコードと契約。1956年に“Please Please“がヒットして以降、大所帯バンドをバックに披露するパフォーマンス<レビュースタイル>が人気を呼び、徐々にファンク・サウンドを確立。ファンクの創始者として音楽史に残る実績を遺しました。

映画で見るジェームス・ブラウンの軌跡

『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男』

簡単な略歴をまとめましたが、その波乱万丈な人生を知るに最適なのは、ミック・ジャガーがプロデューサーとして参加した2014年公開の伝記映画『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男』ではないでしょうか。

映像は陰惨な幼少時代の前期、60年代~70年代初頭までのたたき上げの成功を描く中期、80年代以降の勢い陰る状況から再び這い上がる後期に分け、過去現在のシーンを行き来し、栄光と挫折、人生の光と影を描いています。

見どころはやはりJB演じるチャドウィック・ボーズマンの汗たぎるエネルギッシュなパフォーマンスで、JBのオリジナル音源を使用しつつ、シャッフルや股割りのダンス・ムーヴ、マント・ショー、ステージングの所作、ボディーランゲージなど、見事に演じ切っています。

また、ファンクの源を生み出したきっかけとなった幼少期を追体験するような表現や、第四の壁を超え、JB自らの偉大さを様々なシチュエーションで観客に語り掛ける演出にも注目です。

『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』

よりJBの詳しいバックグラウンドを知りたい方は、同じくミック・ジャガーがプロデュースしたドキュメンタリー『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』もおすすめです。

JB自身が残した発言の記録映像やバンド・メンバーなどの関係者、ライブ映像また彼に影響を受けたアーティストたちのインタビューを収めた貴重な映画です。

なぜJBの強烈な個性を獲得し、エンターテイナーとしての才能を開花させたのか。この映画からその答えが解るかもしれません。

ただし、2023年現在国内盤のDVDやブルーレイが生産終了、オンラインでの動画配信もされていない状況なので、今後の視聴できる機会があれば、ぜひ見ていただきたい作品です

レア・グルーヴとしてのジェームス・ブラウン

レア・グルーヴとは、あまり知られていないレアな音源から発掘され、DJ視点で新たな価値を見出された楽曲のことです。ソウル、ファンク、ロック、ラテンなどジャンルを跨ぎ、簡潔に言うと<グルーヴがあるか、つまりはノることができるか>という価値基準でレア・グルーヴとして選定されています。

JBの楽曲はレア・グルーヴという価値視点で既に評価されており、ガイド本として知られる「レア・グルーヴ A to Z」(RARE 33inc監修/リットーミュージック刊)では複数の作品がピックアップされています。

『In The Jungle Groove』

今までJBに触れてこなかった現行リスナーに推薦したい最初の1枚が、『In The Jungle Groove』(’86)です。

69年から71年の録音で、編者クリフ・ホワイトによる選曲され、86年時点に編まれたレア・グルーヴ~ブレイク・ビーツ視点の編集アルバムです。

最も有名な定番ブレイク部分(ドラムスとJBの掛け声のループ)だけ抽出した“Funky Drummer (Bonus Beat Reprise)“他、有名ブレイクを含む長尺なファンク・ナンバーを収録。粘り強い反復となだらかな変化が、徐々に聴く者のテンションを猛り立たせていく硬骨な1枚です。

最も多くサンプリングされたアーティスト、JB

最も有名な定番ブレイク部分(ドラムスとJBの掛け声のループ)だけ抽出した“Funky Drummer (Bonus Beat Reprise)“他、有名ブレイクを含む長尺なファンク・ナンバーを収録。粘り強い反復となだらかな変化が、徐々に聴く者のテンションを猛り立たせていく硬骨な1枚です。

最も多くサンプリングされたアーティストとして記録されており、2023年時点で8599回サンプリングされています。(「Whosampled」サイト調べ)

ヒップホップ世代もサンプリング楽曲を通じて、脈々と受け継がれてきたJBの楽曲に知らず知らずに接しています。

ではなぜここまでサンプリング人気があるのでしょうか。

どの曲にも共通するヒントは、反応せずにはいられない確固たるリズムセクションの強度にあると思います。

先述の映画『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男』にて、JBがバンドメンバーに檄を飛ばすシーンで「俺らは全員ドラムを叩いている」というセリフがあります。

JB独自の喉を絞り切るように放つシャウトと、ドラムス、ベース、ギター、キーボード、ホーンズなどバンド全ての演奏が作用して生まれ、一つに終結した魂のグルーヴが、現行のリスナーにも本能で共鳴させるのではないでしょうか。

JBで最もサンプリングされてきた楽曲が、先述の“Funky Drummer“で、定番のブレイク・ビーツとして様々なヒット曲で引用されています。

Public Enemy “Fight The Power“
Dr. Dre feat. Snoop Dogg, Jewell and RC “Let Me Ride“

現行アーティストへの影響元としてのジェームス・ブラウン

JBに影響を受けたアーティストは数多くいますが、ここでは現行の音楽シーンで活躍しているアーティストに絞ってご紹介します。

マーク・ロンソン

エイミー・ワインハウスやアデルなどをプロデュースし、<レトロ・ソウル>の流行を生み出した稀代のヒットメーカー=DJ/プロデューサーのマーク・ロンソン。2015年に発表されたアルバム『Uptown Funk』からのシングル“Feel Right“は、“Sex Machine“を彷彿とさせるJB色の強い1曲です。

本曲でのラッパーのミスティカルによる特徴的なダミ声のシャウトはかなりのモノマネ具合。上記でも触れた、レア・グルーヴ~サンプリング視点で制作された、まんまJB印のファンク・チューンは、DJの観点が生かされたであろう疑似レア・グルーヴ的な1曲です。

ブルーノ・マーズ

そのマーク・ロンソンと共作した大ヒット曲“Uptown Funk“でもコラボレーションしたブルーノ・マーズもJBと最も類似性を感じる1人です。

50年代から続く古き良きリズム&ブルース、ロックンロール、ソウル、ファンク、レゲエなどからの影響を大いに受け、現代のフォーマットに落とし込み、非常にキャッチーなメロディーを生み出す現代を代表するシンガー/ソングライターです。

彼の楽曲はどれもリメイクの枠を超え、様々なジャンルのスタイルを組みなおされ、よりポップに凝縮したリサイクル・ミュージックとも言えそうです。

リードボーカルとの掛け合いやMCをこなすサイドボーカルとホーン隊を含めたお抱えバンドを率いている点や、独特のステップやステージ上の所作など、パフォーマンスの所々にJBの影響が垣間見えます。

オーディション番組「X-Factor」に歌われた“Runaway Baby“のパフォーマンスで、JBにシャウトアウトし、さらに<ジェームス・ブラウン・シャッフル>とも呼ばれるステップを披露。そのエネルギッシュなステージングでJBへのリスペクトを表現しています。ブルーノ・マーズはまさに生粋のJBチルドレンと言えるでしょう。

実際、JBのライブ映像からインスパイアされていると公言しています。

ブルーノ・マーズ、ジェームス・ブラウンからインスパイア | リアルライブ

まとめ

ここまで、現代まで生き続けるジェームズ・ブラウンの音楽性とその背景について、ご紹介しました。

人間味のあるキャッチーなキャラクターとしての側面はもちろん、ファンクを生み出した偉大なイノベーターとしてもぜひ注目してみてください。

2023年に聴くからこそ、現行の楽曲の中で、脈々と流れるグルーヴの連綿を感じ、その革新性に触れることが出来るはずです。

ここでご紹介した影響を与えた例はごく一部です。彼の作品を聴きながら、ぜひその音楽的遺産をディグしてみましょう!

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この記事を書いた人
Kouta
Kouta

合同会社Gencone代表

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