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栄光の朝にロックンロールの超新星が炸裂した時、チンピラ兄弟は世界を制した。

栄光の朝にロックンロールの超新星が炸裂した時、チンピラ兄弟は世界を制した。

目次

Oasis/(What’s The Story)Morning Glory?

1995年作品

現在、オアシスの再結成ツアーが世界中で話題になってるけど。
2009年に解散してから毎回、リアム(弟、Vo.)とノエル(兄、G)のギャラガー兄弟がそれぞれインタビューを受ける度に、再結成の可能性を訊かれてたわけで。
リアムは前向き、ノエルは否定。
果てしなく続く(と思われた)兄弟喧嘩と確執の深さすらも、ファンにとっては正にエンターテイメント。

それこそ去年の、遂に再結成か?ってなカウントダウンも、大きなニュースになりました。

解散以降のこの16年間、レコードを聴く度にいつも思ってたこと。
それは、本当に唯一無二のロックンロール・バンドなんだなぁって。
ここまで不在を嘆かれて、再結成をいつまでも信じて待望されたバンド、他にあるかな?

世界情勢も音楽シーンもくるくると様相を変えていった16年の間に、オアシスの威光は衰えるどころか、どんどん輝きを増していってた。
それくらい巨大なロックンロールの超新星こそが、オアシスだったんだよね。
16年ってさ、簡単に一括りで言っちゃってるけど。
もはや、遠い昔だもの。
移り変わる現代のこのスピードに置き換えてみたら、おっさんである筆者からすると、思い出すのも困難な遠い記憶。
それでも、何て言うのかな。
この、喪失感。
失った物のシンプルなデカさ、存在感。
理屈じゃなくて、聴いた瞬間に「うわー」ってぶっ飛ばされるかっこよさ。
勿論、数値や記録としての実績の凄さもあるんだけど。
圧倒的な、無比のスケール。

馬鹿でも分かるギター・リフとグッド・メロディに、カリスマ以外の何物でもないボーカル。
佇まいと挑発的な発言、お茶目な素顔。
そして前述したように、兄弟喧嘩すらも完璧だった。

今回は、そんなオアシスが世界を制することになった、2ndアルバムについてです。

※屈指の名曲「Whatever」については、こちらもどうぞ

アンセムの洪水、大名盤「モーニング・グローリー」の誕生

デビュー・アルバムで、早くも大成功を収めたオアシスは一躍イギリス音楽界のトップに躍り出ます。
ノエル曰く、「その時点で、3rdアルバムまで制作できる膨大な楽曲のストックがあった」。

その勢いのまま、今作を制作。
「ブリットポップ」と呼ばれる、音楽だけじゃない、政治、文化をも巻き込んだイギリスの喧噪を牽引していきます。
当時その中心にあったバンドは、ライバルのブラーを始めとして、パルプ、スウェードといった先輩達。

今でこそ仲良しのオアシスとブラーだけど、当時はバッチバチ。
今作に収録された「ロール・ウィズ・イット」と、ブラーの「カントリー・ハウス」のシングル同時発売対決は、余りに有名な話だよね。
ちなみ筆者はこの2曲なら、「カントリー・ハウス」の方が好き笑。

もう30年も前の、イギリス中を巻き込んだあのお祭り騒ぎを、今考えてみると。

ブラー(特にデーモン・アルバーン)が、イギリス製のロックとは何か?
ポップとは何か?を意識的に打ち出して、世界と向き合っていたのに対して。
オアシスは、デビューした時が「たまたまブリットポップの勃興時」だっただけ。
そんなの知るかよ、ギターがジャーン!って鳴ってりゃそれで良いんだ。
酒があって、煙草があって、女がいりゃそれでロックンロールなんだよ!
ってな、オアシス節が全開だっただけな気がする。
それが、かっこいいんだけどさ。

インテリでウィットに富んだブラーは、ロンドン的な風刺やイギリス文化の引用を積極的に取り入れた。
「イギリスのアイデンティティを再定義する」、ある種の使命感があったと思う。
デーモン・アルバーンって、お坊ちゃん感があって真面目だし。

一方のオアシス(ソングライターのノエル)は、勿論ビートルズやローリング・ストーンズ、セックス・ピストルズへの敬愛に溢れてはいるけど。
シンプルに、「俺が聴きたい曲を書いて、リアムが歌う」。

※ローリング・ストーンズについては、こちらもどうぞ
※セックス・ピストルズについては、こちら

 

この、前向き過ぎる馬鹿みたいなシンプリシティ。
イギリスを代表するためにロックを演っていたんじゃなくて、その真っ直ぐ過ぎる姿勢に、結果として世界中が共鳴しただけに過ぎなかったんだよね。

初めて今作を聴いた時、ブワーって全身を貫く圧倒的なかっこよさに1発でKOされたんだけど。
何か、恥ずかしさみたいなのがあって。
太陽が燦々と降り注ぐ表通りを、意気揚々と歩くことへの抵抗感っていうのかな。
ロックって、どこか鬱屈としながら。
下を向いて歩きながら、ウォークマンで聴く物だったから。
誰ともこの趣味嗜好を共有できないけど、自分だけの宝物みたいな(あくまで、若かりし頃の筆者の見解です)。

そんな俯きながら歩いていた自分の前に、突如として現れた「王道を闊歩する、全13曲」。
しかもタイトルが、「モーニング・グローリー(栄光の朝)」って。
出来過ぎでしょ、こんなの。
そしてそれはあっという間に、イギリスも日本も飛び越えて、世界中で歌われる「みんなのアンセム」になっちゃったんだよなぁ。

収録曲:A面

①Hello
②Roll With It
③Wonderwall

収録曲:B面

④Don’t Look Back in Anger
⑤Hey Now!
⑥(Untitled)
⑦Bonehead’s Bank Holiday

収録曲:C面

⑧Some Might Say
⑨Cast No Shadow
⑩She’s Electric

収録曲:D面

⑪Morning Glory
⑫(Untitled)
⑬Champagne Supernova

楽曲解説

ここでは個人的に大好き過ぎる、3曲に絞って書きたいと思います。
余りに有名すぎる代表曲③④は含まれませんので、ご勘弁を。

まずは、⑧。
「誰かがこう言うかもしれない」と繰り返される歌詞は、労働者階級出身のノエルならではの、日常の風景を断片的に並べたもの。
あくまで庶民的で雑多な現実が描かれてるけど、それが諦念ではなくて誇りであることがアイデンティティ。
日常の矛盾や不便さの中にこそ、生きる価値があるっていう逆説的な肯定とでも言うのかな。

そこにイントロから鳴る、ジャグリングで厚みのあるギター・サウンドと。
野性的で猛々しいリアムのボーカルが乗っかって、今日も俺達の眼の前には、コバルト・ブルーの大空が広がっていく。

正に、「俺達の世代の賛歌」と呼ぶに相応しいよね。
オアシスが初めて全英シングルチャート1位を獲得して、問答無用で国民的バンドへと飛躍した記念すべき1曲です。

次に、⑪。
タイトル曲にして、これぞオアシス!な象徴的なナンバーです。
イントロのギター・リフの、ダサさと言ったら笑。
誰だって練習すれば直ぐに弾けるようになる、このダサさ。
でもこれが、オアシス・マジックなんだよね。
かっこよく聴こえちゃうっていうか。
実際、かっこいいんだけどさ。
あと、何本ギター入ってるの?っていう。
いつまでも爆発的な余韻が残る、分厚いサウンドが耳にこびりつくこと必至。
オアシスにしては珍しくヘヴィなドラムに、リアムのボーカルを最大限に活かす為に書かれたような、タイトル曲に相応しい1曲です。
とにかく最後まで、ドラマティックだよね。
正に、「栄光の朝」。

衝動的でノイジーなだけじゃなく、哲学的でカラフル。
イントロで一気にリスナーを虜にするオアシスの魅力が、存分に発揮されてます。
ライヴでも毎回、観客のボルテージが一瞬で最高潮に達してモッシュの波が起こる、定番曲です。

最後は、⑬。
アルバムのラストを飾る7分を超える大作で、オアシスの楽曲で最も神秘的で夢幻的な1曲。
夜明けに、ロックンロールの超新星が炸裂する。

「どれだけの特別な人々が変わっていったのか」「俺達はどこへ行くのか」と繰り返される歌詞は、成功したロック・スター達のほとんどが、失速して退廃的な生活に溺れていってしまうことを指してます。

ロック・スターだって、人間。
良い時もあれば、悪い時もある。
デビュー・アルバムの成功と、今作で更にモンスター化するオアシスの未来を、予言するような、皮肉とも自戒とも取れる壮大なナンバーだよね。
「永遠に届かないものへの憧憬」が、結晶化したような感じ。

メランコリックとサイケデリックが爆発して超新星として輝くこの曲を聴くと、いつも幻想的で切ない気持ちになる。
ライヴで大合唱を聴くと、泣いてしまうんだよなぁ。
「人生の儚さ」と「永遠の輝き」を同時に感じさせる、珠玉の名曲です。

最後に

使用楽器

エピフォン・シェラトン

この時期のノエルといえば、このギター。
別名「Supernova」。
イギリスの象徴であるユニオンジャックをペイントしてカスタマイズされた、エピフォン・シェラトンです。
ダサいなー笑。

音楽おたくでバンドのコントロール・フリークとして知られるノエルだけど、こういう子供っぽいノリもまた魅力。
絶頂期を極めたこの1995~96年の数々の伝説のライヴでは、このギターをメインで使用しながら大はしゃぎしてる姿が残ってます。

イギリスの動員記録を塗り替えたネブワースでも、大観衆を前に興奮して「これは歴史だ!」って叫んでたし。
「違うよ、ただのライヴだよ」って返すリアムも、最高にかっこいい。
この真逆の兄弟のコントラストが、オアシス最大の魅力のひとつでした。

オアシス最大の発明、「みんなの歌」

オアシスの、そして今作の最大の魅力って何だろう。
それは、とてつもないパワーと感情の共鳴じゃないかなと。
自然発生的に大合唱が起こる、あの圧巻の現象。
そこにはまず、シンプルなコード進行とキャッチーなメロディっていう、数学的な楽曲の構成もあるんだけど。

それだけじゃない、聴くと毎回湧き立つこの感情。
全身が奮える、一体感に駆られるこの衝動。
抽象的で多義的な歌詞に、荒々しく好戦的なリアムのボーカル。
だからこそ、聴き手はそこに自分の人生を投影してしまうんだな。
もはや説明不要の代表曲③④は、間違いなく世界中で最も弾き語りされたギターコードのひとつだと思う。

特に④は、イギリス人にとってのもはや「国家」。
これ、本当にそうらしいね。
大人から子供まで、歌えるっていう。

どこかノスタルジックで、昂ぶりの暴発を感じさせながらも。
挫折や失敗に寄り添う、赦しのようにも聴こえる。
ただ、その先にあるのはいつだって希望。
サビの、「So Sally can wait」。
サリーが誰なのかなんて、些末なこと。
大切なのは、誰もがその言葉を口にして、声を重ねた瞬間に。
「みんなの歌」へと変身して、昇華すること。
オアシスは、ロック史の中でも稀に見る「共鳴装置」を作り上げたんだよね。

サッカーの試合での勝利と敗北、理不尽なテロの追悼場所で。
国家的な記憶の場面で、もう数え切れないくらいこの歌は歌われてきた。
ロックンロールが、みんなの精神的支柱であること。
ロックンロールが社会的儀式になり得ることを、証明してみせた。

「声にならない声」を代弁して、共鳴の大合唱を具現化したこと。
これが、オアシス最大の発明だったんじゃないかな。

現在行われている再結成ツアーで、約16年ぶりに観客と共に歌われる名曲の数々。
それは、過去を懐かしむ歌なんかじゃない。
寧ろ、「今を生きる人々の歌」として、再び響き渡る筈です。
実際、そうなってるし笑。
色褪せることなく、現在進行形の伝説を地で行くバンド、オアシス。
もう、兄弟喧嘩で解散しないでね笑。
したらしたで、それもまたオアシスだけど。

そして、兄弟は世界を制した

「捨て曲一切なし」っていう賛辞句は、音楽レビューではよく聞く言葉だけど。
今作こそが、それに相応しいっていつも思います。
でも前作もそうだった所が、この時期のオアシスの凄さを物語ってるよなぁ。
2作連続って笑。

セールスとしても、キャリア最高を記録。
イギリスのみならず、アメリカを始めとした各国で大ヒットして、マンチェスターの田舎出身のチンピラ兄弟は、文字通り世界を制覇しました。
全曲シングルカット(!)の話も出たくらいの、圧倒的な勢いと自信とクオリティ。
当時のイギリスのどのパブでも、終日オアシスの曲が掛かりっぱなし。
ライヴハウスでは、数え切れないくらいのコピーバンドが出演しまくり。
これ、オアシスが忙し過ぎて各地を回れないから、代わりに埋めてたんだって。
コピーバンドでも良いだなんて、どんだけ求められてんだよ笑。

そんな破格のエピソードが、幾らでも出てくることもまた、今作がスペシャルであることを物語ってます。
まだ聴いたことのない人に、「これがロックンロールだ!」って自信をもってオススメできる、奇跡の名盤です。

ちなみに筆者は来日チケット、当たりませんでしたー!泣
行ける方、心底羨ましいです・・。
是非、楽しんできてください!

って、言われなくてもそのつもりですよね、はい。

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
それではまた、次の名盤・名曲で。

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この記事を書いた人
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Kazuki

合同会社Gencone ナラセル運営代表

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